保険会社の商品には、【保険料払込免除特約】といって、保険料を払込している期間中に、もし、
3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)・身体障害・要介護などで所定の状態になってしまったら、それ以降の保険料の払込は免除される、という【特約=オプション】がある。
この特約は、保険の申し込みをするときに、付けるか付けないか、選ぶのだけど、必要なのか?要らないのか?悩む人は多いんだ。
今回の記事は、そんな人たちに向けたアドバイスの記事だ。
今回も3者対談でお送りします。
実は、【保険料払込免除特約】には、いろんな種類があるんだけど、そもそも【保険料払込免除特約】って何? からお伝えするよ。


保険料払込免除特約とは?
【保険料払込免除特約】は、保険会社によって、呼び名や保障内容も違うんだ。
・保険料払込免除【特則】といったり、
・3大疾病保険料払込免除特約
・特定疾病保険料払込免除特則、 など色々な呼び方がある。
ちなみに保険業界では、【P免(ぴーめん)】と略して呼ばれるよ。
【P】って何かの略ですか?


その頭文字を取って、【P】というんだワン。
保険料払込免除特約の基本的な保障は、3大疾病・要介護・身体障碍だ
【保険料払込免除特約】の基本的な保障内容は、
3大疾病(ガン・心疾患・脳血管疾患)や保険会社が定める要介護状態や身体障碍になった以降は、保険料の払込が免除され、でも保険はそのまま続いていく、というものだ。
もちろん免除要件に該当したあとは、治ったあとも払い込む必要はないよ。

重たい病気になったら、【それ以降の保険料はいただきません!】って。
住友生命だったか、第一生命だったか、忘れたけど。
保険会社によって、要件は異なるんだけど、よくあるタイプから見ていこう。
まずは、第一生命の保険料払込免除特約からだ。
その① 第一生命の保険料払込免除特約の免除要件
①がん
生まれて初めて所定のがんと診断確定された。
(責任開始の日から数えて90日以内にがんと診断確定されたときや、上皮内がん・非浸潤がん・大腸粘膜内がん等を除く)
②急性心筋梗塞
急性心筋梗塞により手術を受けた、または、60日以上の労働制限が継続したと診断された。
③脳卒中
脳卒中により手術を受けた、または、60日以上後遺症が継続したと診断された。
④要介護状態
公的介護保険の要介護2以上と認定された。または、第一生命が定める要介護状態が180日間継続した(要介護2以上に相当)。
⑤身体障害状態
身体障害者福祉法における1級から3級までの身体障害者手帳が交付された。
つづいて、ソニー生命の保険料払込免除特約を見てみよう。
その② ソニー生命の保険料払込免除特約の免除要件
①がん
生まれて初めて所定のがんと診断確定された。
(上皮内がん、悪性黒色腫を除く皮膚がん、責任開始期から90日以内に診断確定された乳がんを除く)
②急性心筋梗塞(虚血性心疾患のうち、急性心筋梗塞、再発性心筋梗塞)
急性心筋梗塞で、60日以上の労働制限が継続したと診断された。
③脳卒中(脳血管疾患のうち、くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞)
脳卒中で、60日以上後遺症が継続したと診断された。
④障害状態
傷害または疾病が原因で所定の障害状態(国民年金法の障害等級1級・2級、厚生年金保険法に定める所定の障害状態)になったとき。
⑤要介護状態
傷害または疾病が原因で所定の要介護状態(以下のいずれか)になり、その状態が180日継続したとき
•常時寝たきり状態で、他人の介護を要する状態
•器質性認知症と診断確定され、意識障害のない状態において見当識障害があり、かつ、他人の介護を要する状態
他社では、いまだにこのタイプ(①~③=3疾病のみ)の【払込免除特約】を使っている会社は多い。
むしろ、第一生命とソニー生命は、④身体障碍と⑤要介護 が付いてる分、手厚かったりするよ。

ただ、最近の商品は、この3疾病の適用要件が、もっと手厚くなっているんだ。

第一生命・ソニー生命の保険料払込免除特約のデメリットは??
昔からある【保険料払込免除特約】のデメリット・弱みは、以下のような部分だ。
・がんでも、上皮内がんは適用にならない。
・心疾患・脳血管疾患の範囲が、急性心筋梗塞・脳卒中に限定されてしまっている。
・発症した後、60日以上もの労働制限や後遺症が継続しないと免除の適用にならない。
例えば、メディケア生命の【医療保険・新メディフィットA】の【保険料払込免除特約】は、次のようになっているよ。

その③ メディケア生命の保険料払込免除特約の免除要件
①がん(上皮内がんを含む)
責任開始日から91日目以後に初めてがんと診断確定されたとき
②心疾患(急性心筋梗塞を含む)
急性心筋梗塞の治療で、入院したとき
心疾患の治療で、20日以上継続した入院か、所定の手術を受けたとき
③脳血管疾患(脳卒中を含む)
脳卒中の治療の治療で、入院したとき
脳血管疾患の治療で、20日以上継続した入院か、所定の手術を受けたとき

心臓と脳は、急性心筋梗塞と脳卒中に限定せず、心疾患・脳血管疾患まで、幅広くなっているよ。

つぎは、ネオファースト生命の医療保険【ネオで医療】の払込免除特約だ。
この会社では、Ⅰ型~Ⅳ型までの4種類の払込免除特約から選べるんだけど、一番手厚い【Ⅳ型】の免除要件は以下のとおりだ。
その④ ネオファースト生命の保険料払込免除特約【Ⅳ型】の免除要件
①がん(上皮内がんを含む)
責任開始日から91日目以後に初めてがんと診断確定されたとき
②心疾患(急性心筋梗塞を含む)
心疾患(急性心筋梗塞も含む)の治療で、入院するか、手術を受けたとき
③脳血管疾患(脳卒中を含む)
脳血管疾患(脳卒中を含む)の治療で、入院するか、手術を受けたとき



手厚くすると、高くなるからね。
付けるかどうかは、実際の保険料がどうなるかを見てからだと思う。
参考に、A子さん(22才)で見てみようか。
ネオファースト生命・医療保険【ネオで医療】の特定疾病保険料払込免除特約
免除特約あり(Ⅳ型) | 免除特約なし |
---|---|
2,850円/月 | 2,518円/月 |
・健康保険料率:適用
・保険料払込期間:65才まで
・保険期間:終身
・入院日額:5,000円/日
・60日型、手術Ⅰ型(入院4倍)
・先進医療特約:あり
・入院一時給付特約:5万円
(2020.5月時点※記載なしの特約は付加せず)
どう思いますか?


A子さんは若いから安いけど、年令が高い人は、もっと差が開くからね。
注意点:【払込免除特約】をあとから付けたり外したりはできない
一部の会社で可能な会社もあるけど、【払込免除特約】を後から付ける、とか、付けていたのを外す、というのはできない。
要るか要らないかは、始めに決めておく必要があるよ。
じゃあ、次は、どうやって考えたらいいか、みていこう。
保険料払込免除特約は、本当に必要か?要らないのか?
保険料払込免除特約は、本当に必要なのか?? について、
筆者の見解をいうと、
3大疾病の保障がそれなりに確保できているなら、保険料払込免除特約は、あってもなくても、どちらでもいい、と思っている。(もちろん、備えが手厚いに越したことはないのは言うまでもない)
考え方としては以下の通りなので、参考にしてほしい。
考え① 3疾病になっても、それなりの給付金が出るなら、そこから支払えばいい
3大疾病になっても、それなりの給付金(例えば一時金の100万円とか)が出れば、【保険料払込免除特約】じゃなくても、そこから支払えばよい、という考え方もある。
そもそも、保険に加入したからといって、大きい病気になりたいなんて期待する人はいないはずだからね。
3大疾病一時金で、同じ機能をカバーしてもよいと思う。
考え② 自営業の人など、社会保障が手薄な人は付けておいたほうがいいかも
サラリーマンや公務員だと、多少病気で仕事を休んだとしても、有給休暇もあるし、いきなり給料が激減することはないが、自営業の人が病気で休んでしまうと収入がダイレクトに激減してしまうことが予想される。
なので、自営業で傷病手当金がない人など、社会保障が手薄な人はあった方がよいと思う。
考え③ この特約の保険料は、基本的に掛けすてだ
【保険料払込免除特約】の保険料は基本的に、掛けすてだ。
(年令や払込期間で変わるが)さっきのA子さん(22才)でも、約13%の保険料が上乗せされる結果となった。
3疾病にならなければ、全く無駄な保険料なわけだから、このコストは意識する必要がある。
考え④ 保険料払込免除特約は、保険の保険のようなものだ
【保険料払込免除特約】のことを、【保険の保険です】と言われることがある。
保険料のための保険に入る。 って、理解できなくもないが。
これもコストで考えたい。
考え⑤ ( )才払済・終身保障タイプなら、ならなくても払込みはそこまでで終わる
たとえば先ほどのA子さんのネオファースト生命の医療保険だと、払込免除特約を付けていなくても、そもそも65才まで払い込めば、保障は終身だ。
それ以降の保険料は(10年更新の先進医療特約を除いて)払わなくてもいい。
300円の保険料を上乗せするなら、その分、保障を手厚くするのもアリだと思う。
考え⑥ 【終身払込タイプ】や【終身保険】に付けるのもありだ
払込期間を【終身払込タイプ】とした保険にだけ付ける、とか、
貯蓄(積立)がメインの【終身保険】だけに払込免除特約を付ける、とか 柔軟に考えて、
保険料をみて判断すればよいと思う。

まとめ&その他
・身体障碍や要介護状態での払込免除もあるが、最近では3大疾病のみを手厚くする内容にフォーカスされがち。
・3大疾病だけに限定して、身体障碍・要介護状態がないものも多い。
・各社の【払込免除特約】は、範囲が広くなるなど、充実してきているが、それと同時に特約保険料も上がっている。
・3疾病のしっかりした備えがあれば、払込免除特約は、必須ではない。
・貯蓄(積立)がメインの【終身保険】だけに払込免除特約を付けるなど、保険料とコスパを考えて、付けるかどうか決めたい。
・(一部できる会社もあるが)【払込免除特約】をあとから付けたり外したりは出来ない。
・ジブラルタ生命の払込免除特約は、【疾病障害による払込免除】となっていて、所定の身体障碍に該当しないと適用されない(3疾病免除特約ではない)。

最近では内容も手厚くなって、まあまあの保険料だから、
自分が備えている保障とのバランスと、保険料をみて決めたらいいワン。
コメント
現役保険営業職ですがわかりやすく参考にさせていただいています。
ネオファースト生命などかなり払込免除が変わってきています。
こちらの記事の時よりもまたよくなって8大が出てきています。
これからも参考にさせていただきます。