アフラック(給与サポート保険)や、日本生命(もしものときの生活費)からも出ていますが、日本で初めて就業不能保険を販売したのはライフネット生命でした。
テレビCMでも知名度があり、女性の妊娠・出産関係はカバーしますが、精神疾患は対象外としているなど、注意点もある商品です。
デメリットや押さえておきたいポイントもあるので、今回は、ライフネット生命・就業不能保険「働く人への保険2」について、現役FPの視点で解説していきます。
就業不能保険の他社のラインナップ
ちなみに、この就業不能保険という新しい分野の商品は、入院や在宅療養で就業不能な期間が60日や180日を超えたときに、その状態が続いている限り、保険期間(60才や65才が多い)終了まで、毎月10万円などの給付金が支払われる、というものです。
保険料も月2,000円~3,000円程度、と安めです。
就業不能保険は、ライフネット生命以外では、どんなラインナップがあるのでしょうか?
単体、つまり主契約で契約できる、就業不能保険として、商品を4つあげました。
・ライフネット生命「働く人への保険2」(今回のメインテーマ)
・アクサダイレクト生命「働けないときの安心」
・アフラック「給与サポート保険」
・日本生命「もしものときの生活費」
就業不能保険を検討するなら、この4商品は要チェックです。
けれども、就業不能保険は、まだまだ新しい分野の商品です。
ですから、この先、良い商品が次々とリリースされ、バージョンアップしてくるでしょう。
なのでそれに合わせて、将来、見直しする可能性も高いので単独商品で検討をし、3~5年でよい商品が出れば、都度見直ししていけばよい商品です。
ではまず、ライフネット生命・就業不能保険「働く人への保険2」の商品内容(主契約と特約、取扱範囲など)を表にまとめてみました。知っている方は、さっと読み飛ばして下さってOKです。
ライフネット生命・就業不能保険「働く人への保険2」の具体的な商品内容
名称 | 内容 |
---|---|
商品名 | ライフネット生命・働く人への保険2 正式名称: 就業不能保険(無配当、無解約返戻金型2016) |
主契約 | ・就業不能給付金: 下記の状態が、支払対象外期間(60日もしくは180日を選択)を超えて継続した場合、 病気やケガで働けなくなったとき 月に1回、月額 10万円~50万円(5万円単位)。 ※ハーフタイプを選んだ場合、就業不能給付金が、540日(1年半)以内は、半分だけ給付される。(541日目以降は、満額で給付される。) ・高度障害給付金: 高度障害になった場合、給付金月額×10倍 |
取扱範囲等 | ・契約可能年齢: 20才~60才まで ・給付金月額: 10万円~50万円まで(5万円単位で設定可) ・保険期間、保険料払込期間: 55才、60才、65才、70才 ・払込回数: 月払いのみ ・払込方法: 口座振替、クレジットカード ・非喫煙者割引: なし ・貯蓄性: なし |
ライフネットは、ネット申し込みの商品ということもあって、公式HP↓や
https://www.lifenet-seimei.co.jp/product/disability/
保険料シミュレーション(公式HP)↓
https://www.lifenet-seimei.co.jp/plan/
も見れますが、今回は、少し分かりやすく、表にまとめてみました。
「働く人への保険2」の具体的な設計例
就業不能給付金: 月額10万円
保険期間、保険料払込期間: 65才まで
支払い対象外(免責)期間: 60日
のプラン、保険料は掛けすてです。
契約年齢 | 男性 | 男性 (ハーフタイプ) | 女性 | 女性 (ハーフタイプ) |
---|---|---|---|---|
20才 | 2,055円 | 1,620円 | 2,249円 | 1,782円 |
30才 | 2,686円 | 2,056円 | 2,638円 | 2,040円 |
40才 | 3,361円 | 2,476円 | 2,811円 | 2,100円 |
50才 | 4,163円 | 2,931円 | 3,054円 | 2,197円 |
・就業不能給付金月額: 10万円
・支払対象外期間: 60日型
・保険期間、保険料払込期間: 65才
※ハーフタイプは、就業不能給付金が、当初 540日(1年半)以内は、半額(この例なら5万円/月)で給付されるタイプ。
ハーフタイプを選ぶと、2割ほど保険料が安いですが、就業不能の最初の540日間(要は1年半)は、半額しか出ないプランになります。 傷病手当金など会社の福利厚生が手厚い人ならハーフタイプもありでしょう。
続いて、「働く人への保険2」の主なデメリット、注意点などをお伝えします。
ライフネット生命・就業不能保険「働く人への保険2」のデメリットや注意点
△①働けない期間が、60日を超えないと、もらえない
ライフネットに限らず、就業不能保険のほとんどは、就業不能保険の状態が60日を超えないと、給付金は出ません。
この、就業不能の状態とは、①治療のための入院、②医師の指示による在宅療養、をいい、この状態が、60日、つまり約2か月を超える場合にのみ給付される、ということなので、簡単には受け取れない商品になっているのが、デメリットの1つめです。
△②精神疾患での就業不能は、対象外となっている
ライフネット生命の就業不能保険では、精神疾患は対象外となっています。
うつ病などで、心の病気になる人は多いので、これが対象外、というのは、ライフネットの弱い部分でしょう。
△③障がい等級2級以上という他社である要件がない
他社の就業不能保険では、障がい等級2級以上になれば就業不能とみなして、給付金の対象になる、という要件があるのですが、ライフネットでは、この要件はついておらず、あくまで、ライフネット生命の定める、入院か在宅療養のみになっているところです。
以上、デメリットや注意点になります。
それでは続いて、「働く人への保険2」の長所やメリットもお伝えしますね!
ライフネット生命・就業不能保険「働く人への保険2」のメリットや長所、魅力
◎①保険料が安い
ライフネットの就業不能保険の保険料は、後発のアクサダイレクトには負けますが、かなり安いです(比較表を作成してみました)
保険会社 | 商品名 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
アクサダイレクト | 働けないときの安心 | 2,370円 | 1,990円 |
ライフネット | 働く人への保険2 | 2,686円 | 2,638円 |
アフラック | 給与サポート保険 | 3,360円 | 3,320円 |
日本生命 | ニッセイ就業不能保険 | 3,550円 | 3,370円 |
・契約年令: 30才
・就業不能給付金月額: 10万円
・保険期間、保険料払込期間: 65才
ライフネットでは妊娠出産に関するものも給付対象になることもあって、女性の保険料が少し高く見えますが保障が広い分、そこは仕方のない部分でしょう。
◎②支払対象外(免責)期間、180日タイプが選べる
ライフネットの就業不能保険は、支払対象外(免責)期間を180日で設定し、保険料をかなり安くすることができます。(3割ほど安くなります)
就業不能保険は、もともと長期の働けない状態を守るための保険ですし、健康保険の傷病手当金が2/3出るわけですから、長期になったときだけ、守ってもらえればよい、という意味で、対象外期間を60日⇒180日に設定し、保険料を下げたり、その分、保障額を上げるのもありでしょう。
◎③妊娠、出産関係での就業不能も対象としている
ライフネットの就業不能保険は、妊娠、出産関係での就業不能も対象とされています。普通の自然分娩では出ませんが、例えば、異常妊娠の、切迫早産や妊娠悪阻(にんしんおそ)なども、要件を満たせば給付になるようです。
ライフネットのパンフレット(実際の支払い事例)にも、「切迫早産、重症妊娠悪阻」で給付金を支払っている、と記載されていました。
他社の多くの就業不能保険は、妊娠、出産関係では出ないので、ここはライフネットの強みだといえます。
◎④高度障害になったら、月額の10倍の給付金がある
所定の高度障害になったときには、1回のみですが給付金月額の10倍が出ます。(月額10万円なら、×10で100万円ということになります)
そして、それ以降の保険料の払い込みは免除され、でも就業不能の保障は継続する、というもの。
高度障害保険金が支払われても、それ以降の就業不能の保障が継続する、のがというは大きなメリットでしょう。
以上が、「働く人への保険2」のメリットや長所、魅力になります。
就業不能保険を検討するときに、押さえておきたいポイント
さいごに、ライフネット生命に限らず、就業不能保険を検討するときに、押さえておきたいポイントをお伝えします。
①短期でよいなら、損害保険会社の所得補償保険を検討するのもあり
ライフネット生命に限った話ではないですが、60日や180日の免責期間なんて長すぎる!!、と思う人は多いはずです。
なので、免責が7日間など、短く設定されている、損害保険会社の所得補償保険(あいおいニッセイ同和損保や、日立キャピタル社の「所得補償保険」」)も選択としてあります。
ただ、これはこれで、1年更新の注意点(給付金をもらうと基本的に次回以降は更新できなくなる)や、保障も最大で2年間まで、など、といった弱さもあったりします。
②傷病手当金の制度は押さえておきたい
会社員であれば、就業不能保険の世話になる前に、健康保険の公的給付=「傷病手当金」の制度にすでに加入しています。
つまり、サラリーマンなら就業不能になったとしても、1年半は傷病手当金が出る(給料の2/3が保障される)ので、それなりの貯蓄があれば耐えられる、ということです。
ただ、1年半を超えて仕事ができず、障害年金を受給するようなレベルになると、所得が激減するので、それを補う目的、つまり長期の保障を考えて入るならば、ありだと思います。
ただ、自営業の人だと、傷病手当金がなかったり、と公的な社会保障が手薄なので、こういう人は、就業不能保険が必要な人だと思います。
まとめると、
・長期の就業不能の保障を備えたい人、
・健康保険の傷病手当金がない(自営業の人など)、
は入る価値は大いにあると思います。
そして実際に契約するときには、就業不能への備えだけでなく、
・入院や手術(医療の保障)
・がん、心臓、脳などの大きな病気(3大疾病)
への守りをバランスよく考えていけばよいと思います。
この記事がお役に立てば嬉しいです。