ネットの口コミでは評価が分かれていて(どちらかというと悪い評判が多い)、実際のデメリットなどはどうなのでしょうか?
外貨(ドル)建てですから、積立利率が高かったり、個人年金保険料控除が使える、といったメリットはあるのですが、
今回の記事では、マニュライフ生命・こだわり個人年金のデメリットを中心に、現役FPの視点から、徹底的に検証して、お伝えしていきます!
まず、デメリットを具体的にお伝えする前に、マニュライフ生命・こだわり個人年金の概要をかんたんにまとめてみます。
マニュライフ生命・こだわり個人年金は、外貨建て(米ドルもしくは、豪ドル)の個人年金保険です。
昨今の低金利のなかで、日本円よりも外貨建てのほうが積立利率が高いため、契約者自身が米ドルか、豪ドルかを選んで、積立をしていく商品です。
契約者が支払っていく保険料は、最初に決めた金額が、日本円で固定されているので、毎月の引き落とされる保険料が増えたり減ったりしない商品になっています。
じゃあ、銀行の外貨預金とどう違うの?
というと、個人年金だと、税金面での優遇(個人年金保険料控除か、生命保険料控除)があって支払った保険料の一部が節税になったり、銀行預金よりも少し利回りが高い、というメリットがあります。
それでは、さっそく、マニュライフ生命・こだわり個人年金の具体的な商品内容です。後で解説しますので、必要な項目だけ、ざっと、ご確認くださいね!
ちなみに公式な情報はこちらです⇒[公式HP:マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)]
また、公式HPの動画で、約4分(実際には3分ちょっと)で分かるyoutube動画もあったので、詳しく知りたい人はどうぞ⇒
マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)の商品内容詳細
名称 | 内容 |
---|---|
商品名 | マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)・無配当 外貨建 個人年金保険(積立利率 変動型) |
主契約 | ・「米ドル」または「豪ドル」で運用する外貨建の個人年金保険。 ・毎月一定額を円で払い込み、外貨で運用した後、その運用成果を年金で受け取る。 |
年金種類 | 2種類あり、どちらかを契約時に選択する。 ①終身年金(10年保証期間付) ②確定年金(5年または10年) |
特約 | 個人年金保険料税制適格特約:以下の4つすべて満たせば適用可。 ①年金受取人は契約者またはその配偶者のいずれかであること ②年金受取人は被保険者と同一人であること ③保険料払込期間が10年以上であること ④確定年金の場合、年金支払開始日における被保険者の年齢が60歳以上かつ年金支払期間が10年以上であること |
積立利率 | 毎月変動(年1.5%の最低保証あり) |
為替手数料 | 保険料払込時:50銭。 受取時:豪ドル 3銭、米ドル 1銭 |
契約可能年齢 | 0才~60才まで |
保険料 | 月々1万円~40万円まで(千円単位) |
払込方法 | 月払い、半年払い、年払い。口座振替、クレジットカード可 |
その他 | 非喫煙者割引:なし、 健康告知:不要、 配当金:なし |
それでは、解説をしていきますね!
マニュライフ生命・こだわり個人年金はドル建てですが、毎月の保険料は日本円で固定されているので、変動しません。
ちなみに米ドルにするか、豪ドルにするかは、契約時に選び、途中で変更はできません。
受け取りの年金種類は2種類あり、どちらかを契約時に選択します。
①終身年金(10年保証期間付)
終身年金ですから、被保険者が生きている限り、一生涯もらい続けます。早く亡くなってしまったら損ですが、その場合も最低10年間は年金を受け取ることができます。
長生きすればするほど、お得です。
②確定年金(5年または10年)
5年または10年、毎年受け取ります。受け取っている途中で亡くなってしまったときは、残りを遺族(死亡受取人)が一括で受け取ります。
ざっとお伝えすると、このような商品内容なのですが、実際に、こだわり個人年金のデメリットや注意点は、どうなのでしょうか?
続いて説明していきますね!
マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)のデメリットや注意点など
デメリットや注意点などをお伝えしていきますね!
①外貨で運用するので、為替レートの影響をダイレクトに受ける
この商品は、毎月の保険料でドルを購入していくので、積み立てられたドルを日本円に換える時には、その時の為替レートの影響を受けます。
『円安ドル高』ならば多くの日本円を受け取ることができますが、その逆の『円高ドル安』ならば、日本円に換えると少なくなってしまい、支払った保険料よりも少なくなってしまうことがあることです。
なので、日本円にタイミングは、ものすごく、、、重要です。
ここでどうしても欲しい、となったときに、『円高ドル安』なら、すごく損をしてしまうので、他の貯蓄で、ある程度の余裕がないと厳しいでしょう。
②外貨を購入するときに毎月、為替手数料がかかる
毎月、日本円で保険料を支払って外貨を購入していくのですが、その都度(毎月)、1ドルにつき50銭(要は0.5円)の手数料が掛かってしまうので、手数料はちょっと高めです。
ソニー生命の外貨保険なら、1ドルにつき1銭(要は0.01円)の手数料でやってくれるので、手数料はもう少し頑張ってほしいところです。
③最低保険料があって、月々1万円以上からしか契約できない
この商品は、最低でも月々、1万円からの契約になっています。5千円とか7千円では契約できません。
一般的な円建ての個人年金ならば、3千円でも5千円でも契約できる商品は多いのですが、1万円以上でないと契約できないです。せめて、月々5千円からできるようにしてほしいですね。。
④10年未満で解約した場合は、積立金がかなり、少なくなってしまう(解約控除)
契約してから10年未満で解約したときには、【解約控除】といって、積立金から所定の金額が差し引かれてしまいます。
ここはかなり大きなデメリットであり、注意を要する部分です。
契約してすぐに解約すると積立金の約36%、契約して5年でも約18%もの金額が差し引かれてしまうので、最低でも10年以上は続けないとメリットが出にくいです。
契約するなら10年以上は支払っていくつもりで考えましょう。
⑤円建てよりも利回りは高いが、実際の利回りは、それほどでもない
為替の変動リスクがある代わりに積立利率が高い、というのがドル建て商品の魅力なのですが、実際の積立利率はそれほどでもないようです。
2018年2月現在の数値で試算してみました。
こだわり個人年金は、毎月利率が変動するのですが、まずは、今月の利率(米ドル積立利率:年2.7%)が、この先30年間ずっと同じ(年2.7%)だった場合のシミュレーションです。
経過年数 | 年齢 | 払込保険料累計(円) | 払込保険料累計(USドル)A | 解約時返戻金(USドル)B | 返戻率(B/A) |
---|---|---|---|---|---|
5年 | 35才 | 60万円 | 5,485 $ | 3,873 $ | 70.6% |
10年 | 40才 | 120万円 | 10,971 $ | 10,800 $ | 98.4% |
15年 | 45才 | 180万円 | 16,456 $ | 17,743 $ | 107.8% |
20年 | 50才 | 240万円 | 21,942 $ | 25,553 $ | 116.5% |
25年 | 55才 | 300万円 | 27,427 $ | 34,307 $ | 125.1% |
30年 | 60才 | 360万円 | 32,913 $ | 44,144 $ | 134.1% |
30才、保険料払込期間:60才まで、年金受取:60才から10年間(確定年金)。
払込保険料:10,000円/月 、為替レート:1USドル=109.38円で、積立利率:年2.7%がずっと継続したものとして試算※男女での違いはなし
60才時点では、134%の利回りとなっていますが、ここから為替の変動があってプラスマイナスがありますので、単純に134%ではないです。それよりも多くなることもあれば少なくなることもあります。その時の為替レート次第です。
つづいて、積立利率が、ずっと最低保証の1.5%で推移した場合もシミュレーションしてみました。
経過年数 | 年齢 | 払込保険料累計(円) | 払込保険料累計(USドル)A | 解約時返戻金(USドル)B | 返戻率(B/A) |
---|---|---|---|---|---|
5年 | 35才 | 60万円 | 5,485 $ | 3,769 $ | 68.7% |
10年 | 40才 | 120万円 | 10,971 $ | 10,195 $ | 92.9% |
15年 | 45才 | 180万円 | 16,456 $ | 16,240 $ | 98.7% |
20年 | 50才 | 240万円 | 21,942 $ | 22,653 $ | 103.2% |
25年 | 55才 | 300万円 | 27,427 $ | 29,428 $ | 107.3% |
30年 | 60才 | 360万円 | 32,913 $ | 36,609 $ | 111.2% |
30才、保険料払込期間:60才まで、年金受取:60才から10年間(確定年金)
払込保険料:10,000円/月 、為替レート:1USドル=109.38円で、積立利率:年1.5%(最低保証)がずっと継続したものとして試算※男女での違いはなし
特に10年以下の解約は、解約控除で大きく差し引かれてしまいますし、ここから為替レートの変動でプラスマイナスが掛かってきます。せめて15年は続けないとプラスにはなりにくいです!
以上が、デメリットや注意点になります。
ただ、デメリットがある一方で、マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)のメリットとしては、
マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)のメリット
メリットとしては、
①円建ての個人年金よりも、積立利率が高いこと
為替などの経費はかかりますが、年利2.7%(2018.2月時点)や1.5%(最低保証)で運用できること。
②銀行や郵便局で貯金するよりも、所得税・住民税のメリットが受けられること
銀行で普通預金にするよりも、個人年金保険料控除か生命保険料控除が受けられますから、税金面で節税になること。
③毎月、自動的に貯蓄していってくれる
保険会社の商品を使って、毎月自動的に貯金していってくれるので、自分で貯める自信がない人には便利な仕組みに乗っかれること。
④クレジットカードでの払い込みができること
クレジットカードでの払い込みができるので、ポイントを貯めたい人には嬉しいです。
⑤解約返戻金や年金の受け取りは、ドルでも円でもその時に選べる
受け取りは、日本円でも、外貨でもその時に選べるので、為替レートを見ながらその都度選べます。
⑥毎月の払い込み保険料は、変動せず、ドルコスト平均法で積み立ててくれる
ドル建て保険の最も大きなデメリットである、毎月の保険料の変動がない、ということです。
一定額の外貨を買うのではなくて、一定額の円のなかで外貨を買っていくので、【外貨が安いときには多く買い、高いときには少なく買う、】というシステムで買っていくドルコスト平均法のメリットが受けられることです。
⑦契約した後でも、毎月の払い込む保険料は減らすことができること
毎月1万円以上、という最低ラインはありますが、始めは月2万円でしておいて、途中から1万円に減らしたりできます。
⑧契約から10年経てば、払込の停止や、再開ができること
契約から10年経てば、払込の停止や再開ができますし、実は、まじめに契約した予定通り最後(60才など)まで支払っていくよりも、10年経過後に払済(払込停止)したほうが、実は60才時点の返戻率で比較しても結果的に利回りが高いのです。
⑨最長80才までなら、保険料の払込期間を延長して継続して払込も続けられること
例えば将来、円高ドル安なので、もう少し延長して保険料を払って積み立て金を増やそう、といったこともできます。
といったメリットがあるので、為替の変動はありますが、多少のリスクを取ってもいいから、高いリターンを目指したい、と考えている人には、マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)はとても合っている商品だと思いますよ!
さいごに
いかがでしたか?
マニュライフ生命・こだわり個人年金(外貨建)のデメリットや注意点などを知ったうえで、検討する時には比較の材料として、
他の同種の商品【三井生命(ドリームフライト)】など
も比較してご検討されれば良いと思いますよ。
ご参考になれば嬉しいです。